<論文紹介:European Radiology 2023;33(2):1015-1021.>

今回は、European Society of Radiologyの学会誌であるEuropean Radiology誌からの論文を紹介します。

公式学会誌に掲載されていますので、信憑性は高いと思います。
考えさせられる内容です。ぜひ、ご一読を。
オランダからの報告です。

Did medical doctors who order abdominal CT scans during on-call hours truly become worse at clinical reasoning? Yes, they did. (European Radiology 2023;33(2):1015-1021.)
題名からしてインパクトがありますが、本論文では、下記のように結論づけています。

1.急性腹症が疑われる患者で、オンコール時間帯にCT検査が予定されている場合、一般に担当医は正確な検査前(鑑別)診断を行うことが困難である。
2.これらの患者の腹部CT検査を依頼する医師の臨床推論の質は、年々著しく低下している。
3.CT検査件数は、著しい増加を認める。
4.このような状況では、若年患者において臨床的推論の質が有意に低い。

日本では、オンコール時間帯だけでなく通常勤務時間帯での広範囲CT検査が著増しています。
しかも、検査依頼意図が、より希薄になりつつある印象を受けます。

医学において、「正しく診断する」が、脚光を浴びています。
しかし、それ以前に、画像所見を過剰に取り過ぎて「病気を作ってしまう」、ということを避ける方が大切ではと考えています。

(文責:下野 太郎)