放射線(画像)診断学全般において役立つ雑誌を紹介します。
それは、American Journal of Roentgenology (AJR) です。
American Roentgen Ray Society (ARRS)の学会誌です。
発刊1年後にオープンアクセスになります。
臨床放射線診断において基本となる雑誌で、画像診断英文雑誌の中では、私にとって最も愛着の
ある雑誌です。
バランスがとれており、臨床センスを感じる論文に出会えます。
全臓器の画像診断/モダリティーやIVR、Medicolegal-Malpractice and Ethical Issues in
Radiologyなどの放射線医学関連医療全般を網羅しています。
残念ながら症例報告は掲載されていませんが、毎号数本の教育的総説が掲載されています。
中枢神経系・頭頸部放射線診断領域に関しては、以前紹介しました「American Journal of Neuroradiology (AJNR)」に
シフトしているようなので、この分野は内容が少し薄めです。
本誌には、提唱された報告の検証論文などが比較的多く、放射線医学領域で最も権威のある
「Radiology」誌の掲載論文に対する異論・反論の論文が掲載されたりするため、新しい疾患概
念の画像所見を勉強したい人にとっては、もの足りない部分があるかもしれません。
しかし逆に言えば、本誌に掲載された内容はかなり信憑性が高い、と捉えることもできますので、
初心者にもおすすめです。
最後に、最新号(December 2017, VOLUME 209 NUMBER 6)から、下記2論文を紹介します。
臨床現場でときどき見かける所見ですが、結論は、下記のとおりです。
Dendriform pulmonary ossification (DPO) in the absence of UIP occurs in elderly men and
appears to be associated with chronic aspiration of gastric acid. The course is indolent.
「Benign Posttraumatic Pseudopneumoperitoneum. (AJR 2017;209:1256-1262.)」
これも見かけたことがあり何だろうと思っていたのですが、
Pseudopneumoperitoneum is a posttraumatic phenomenon centered near the lower six
costochondral junctions. Recognizing these findings may help prevent unnecessary laparotomy
in the trauma setting.
Ectopic gas is thought to accumulate near the costochondral junction due to a vacuum
phenomenon from traumatic impact.
このガスの由来の推察が面白く、さもありなんですね。
(文責:下野 太郎)